〜アジアの風にのって 素朴なぬくもり おとどけします〜

2015年11月22日日曜日

ネパールレポート2015秋〜宿までのわずかな道のりで

どうもです。ママ@ガネーシャです。

無事入国審査を終え、荷物も無事受け取る。
前々回、ワシの荷物はなぜかKTM(カトマンズ)じゃなくて、NGO(名古屋)〜BKK(バンコク)を経てKIX(大阪)へ帰っていたので、荷物を無事受け取るまで緊張感はつづく。
いつもなら小さなスーツケースで来るのだけれど、今回はちょっとお土産が多いので大きな赤いスーツケースで、ネパールには似つかわしくない勘違い野郎っぽいのが自分でも笑えた。
客引きがいなくなっただけじゃなく、タクシー乗り場まであるからびっくりする進化だよね。
ワシはいつもどおりお迎えに来てもらう。
最初にネパールへ行った時、この客引きがめんどくさいから送迎を頼んだ。
それ以来ずっと頼んでいる。
今回もドライバーさんは知った顔だった。
「ラムさん、お久しぶりね〜♡(^o^)」
「AIKOさん、お元気ですか?」
「地震大変だったね。。。みんな大丈夫?」
「ありがとう。なんとか大丈夫だけど大変だよ、、、」
と言いながら、荷物を車に入れてタメルの宿へ出発進行。
ネパールはちょうどダサイン中で、市内の車が少ない気がした。
写真に撮れなかったけど、インドのお下がり古い大型バスが、なんだかスゴイことになってるのを何台も見かけた。
どうスゴイんか言うとね、フロントガラスやサイドの窓ガラスが無いのさ。。。
無いまま走ってたり、ラップフィルムみたいの巻いてたり、、、ええのんか?それ?
素朴な疑問をラムさんにぶつけてみる。
「車、少なくね?ダサインだから?バス、なんでガラスないの?」
「AIKOさん、ネパールは今ビッグプロブレムねぇ。。。」と、厳しい口調で早口で話しだす。

ダサイン中だから通常よりカトマンズは静かではある。
が、車が少ないのはペットロールが無いから。
バスのフロントガラスや窓ガラスが無いのは、デモで暴動があるから。

・・・・?
ラムさんや、アホなワシにもわかるように説明しよし。
簡単な英語でゆっくり教えておくれやす。

ひと呼吸おいて、ゆっくり説明してくれた。

アホな頭で言葉を変換して「こういうことけ?」と確認すると、ネパールの現状が見えてきた。

ご周知のとおり、ネパールは今年2015年4月25日、大きな地震に襲われた。
その被害は甚大で、多くの人々の命と生活が犠牲になった。

関連記事のアーカイブはこちらから
http://news.yahoo.co.jp/list?t=nepal_earthquake&p=3

「・・・犠牲になった。」と過去形ではなく、現実はまだ復興のメドもむずかしい状況にある。

しかし、ネパールの人々が今現在苦しい状況にあるのは、地震とは無関係のところにも要因がある。
このレポートの序章でもふれたが、ネパールは現在共和国制だ。
詳細はwikiから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB

2008年に王制が廃止されて以来、憲法がないまま7年も連邦民主共和制だった。
そして今年2015年9月20日、新憲法が公布された。
関連記事はこちらから
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20H49_Q5A920C1000000/

7年もなかった憲法、なくても普通に暮らしていたネパール国民。
なのに新憲法公布で喜びのパレードまであったらしいよ、カトマンズ。
いろいろアメイジングですな。。。(@@)

でもね、
ところがどっこいな話でね、
この憲法を快く思わないインド政府が経済制裁を仕掛けてきた。
関連記事はこちらから
http://www.sankei.com/world/news/150927/wor1509270035-n1.html

ラムさんによると、今はダサイン中で里帰りの人も多いし、インドもお祭り前に少し緩めたけど、ダサイン前は大変だったらしい。
ガラスの無いバスは長距離バスで、国境付近を走る路線でデモの暴動にあってガラスが割られてしまった。
直す物資が無いので、そのままの状態で運行しているのだそうだ。

大型バスのフロントガラスが無いって、どういうことやの?大丈夫なの?
大丈夫なわけはなく、運行中にアクシデントは多発しているらしい。

タメルの宿まで行く車中から、トラックやバスがやたらと道路脇に止まっている。
列をなして止まっている。
「あれは何なん?」
「あれはディーゼルを待ってる」と言う。
ペットロールはガソリンで、普通車や乗用車の燃料。
ディーゼルはトラックや大型車の燃料。
燃料を入れるために何時間も並んで待つらしい。
(この時は何時間か待てばなんとかなった)
燃料はすでにブラックマーケット化している。
ネパールはアジアの中でも貧国とされ国民の所得も極めて低いとされているが、ガソリンの値段は日本と変わらない。
前はだいたい1リットルが1ドルだった。
へぇ〜同じじゃん!と軽く考えちゃいかんだよ。
ネパールで大学を出て小学校の新任教師になった場合、1ヶ月のサラリーはだいたい50ドルくらいだという。
50ドルってね、だいたい6千円だよ。
大学まで行って教師になって、その月給が6千円だよ。
それでも良い方なんだよ。
お子さんのいる方にお尋ねするよ。
塾や習い事してますか?
お月謝はどのくらい?
6千円くらいするんじゃない?
日本では公文教室やスイミングスクールのお月謝じゃん...(゜o゜;
中学生の子どものお小遣いくらいか?(゜o゜;
スマホ代だって1ヶ月1台5〜6千円するんちゃうか?(゜o゜;
そんな状況で1$/1Lのガソリンが、ワシが着いたその日は500ネパリルピーだった。
その日のレートは10000円が8400ネパリルピー。
1ネパリルピー=1.2円の計算になる。
とすると、500ネパリルピーは600円です。

みなさん、この日本でガソリンが1リットル600円もしたら乗る?
カトマンズに住む人で自家用車のある人はかなり裕福な家庭だけど、それでもやっぱり乗り控えをする。
歩く人が増えてきてるのも確かなようだ。
しかし、自家用車だけが車の用途ではない。
これといった産業がないネパールは観光立国。
残念ながらカトマンズ周辺の世界遺産は見るも無残に崩れてしまったけど、ネパールにはヒマラヤ山脈がある。
エベレスト登山といった本格的なものもあれば、アンナプルナ連峰などヒマラヤの山々を眺めながらを歩くトレッキングは世界中の人々から人気がある。
カトマンズから離れたポカラやチトワンやルンピニーはもちろん、近場のパタンやバクタプル、ナガルコットへもバスや旅行社(ガイド)の車が活躍する。
車がなくちゃ仕事にならない観光業者は大打撃だ。
業者だけじゃない。
観光に来たのに観光地まで行けなくちゃ観光客も激減する。
そうすると観光立国の収入が激減する。
国民の生活にも物資の配送が出来なければ食べ物にも困る状況が生まれる。
燃料はペットロールやディーゼルだけじゃない。
調理用のプロパンガスもない。
お湯をわかすボイラーの燃料もない。

「AIKOさん、国民生活も大変だけど、こんな状況で観光客が来ますか?
ホテルでお湯も出ない状況になったら誰が泊まりますか?
レストランはガス不足で休業しているところもあります。
タメルにいてレストランやってなくてどうしますか?
これをビッグプロブレムと言わなくて、何をプロブレムと言いますか?」

ラムさんの仕事は観光のドライバーだもんね。
お気持ち察しますだよ。
到着したばかりのワシは、地震のことばかりが気になってたけど、現実を目の当たりにすると具の音も出ない。
それでも今はダサインなんだよね。
道行く人々にもタメル周辺の人々にも悲壮感はなかった。
ニュースでざっくりは知ってたけど、こりゃホンマに大変なこっちゃよ。。。
これから寒くなるネパール。
日本と同じ北半球だもん、冬が近づいている。

車から現実を見ながら、ラムさんに話を聞きながら、頭の中がだんだん「ここはカトマンズや!」と認識していく。
カトマンズくんだりまで来た理由がワシにはある。
宿に到着したらドルバさんが待ってた。
挨拶をしてチェックインをして部屋へ荷物を運び、すぐにロビーへ戻る。
「AIKOさん、今回はどんな感じで動きますか?」と尋ねられ
「今すぐボダナートへ行きます。」と即答のワシ。
「車をお願いできますか?」と聞くと、このまま今すぐならOKだそうだ。
こんな状況じゃタクシーもかなりの高値でボッタクリ料金だろう。
ラムさんも日を改めての運転は燃料の都合上出来ないようだし。
いつもなら、頭と体を慣らすために半日タメルをうろつくけど、いやいや、今回はそんな状況じゃなさそうだし、ワシもそんな気分にはなれなんだ。。。(/_;)

いざ、ボダナートへ。
つづきます。